美術室のユーレイ
「もう俺にはどうすることもできないから粘って粘って粘った。粘り倒した」
あの日から叶多くんが姿を見せなくなったのは、神様のところに行っていたからなのか。
「で、舞空がなにをしようとしているのか、やっと教えてくれた。1週間もかかっちゃった」
私が途方に暮れている間にも叶多くんは私のために頑張ってくれていたんだね。
つくづく私の無力さを痛感する。
でも私のことをずっと考えてくれていたことは素直に嬉しかった。
「神様に『渡辺 舞空はお前を生き返らせようとしている』って言われて、俺、意味がわからなくて。まずそんなことができるのかって思って」
私は黙って叶多くんの話を聞いている。
「そこで思い出したんだよね。舞空、時々部室に来なくてどこか別の場所に行ってるって。で、調べてみたらあの女の子、過去に行ける能力を持っているらしいじゃん?それで過去に行こうとしていることがわかって…」
叶多くんの顔が暗くなる。
「もう舞空は俺が誰なのか、どうやって死んだのか、俺との関係まで全部知っていて…過去に行って俺が死ぬ経緯をたつってことも教えてくれた。俺、それを聞いたときめちゃくちゃびっくりして…」
開け放たれた窓から風がビュンと入ってくる。
風に髪をなびかせながら叶多くんは話を続けた。