美術室のユーレイ
「舞空は俺のことを見捨ててなかった、あんなひどい突き放し方をしたのに、俺のことを助けようとしてくれていた、それがすごく嬉しかった。でも……舞空は懐中時計の5回目の針を鳴らしてしまった」
叶多くんは今までの私がしてきたことをすべて知っていた。
そして最大のミスを犯してしまったことも…。
「5回針を鳴らしてしまったらどうなってしまうのかも知った。俺を助けることのリスクが大きすぎると思った。俺はもう死んでいるから消えるなら俺だけならまだしも、舞空まで消えてしまうだなんて…」
叶多くんは悲しそうな顔を見せる。
かと思うと私に向き直り、決意の目を向けた。
「でもそんなリスクを背負ってまで舞空は俺のことを助けようとしてくれた。それが本当に嬉しかった。俺は……舞空と此岸で生きたいと思った」
真っ直ぐに私を見つめてくる。
…私はその瞳に応えることができなかった。