溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
「仕方がないから可愛い風香ちゃんに免じて許してあげよう」
「んー………痛かったよ!柊さん!」
「あ、少し赤くなってるね。ごめんね、風香ちゃん」
自分がやった事なのに、少しも申し訳なさそうではない声音でそう言う柊に、風香は文句を言おうとする。が、その前に柊は風香の顔に近づき、ペロリと頬を舐めた。
「え、え…………!?」
「今度から何か変わった事とか、危険な事があったら教えてね。じゃないと、またふわふわの頬っぺたを掴んじゃうよ」
頬を舐められた事の衝撃から、風香は声が出ず顔を真っ赤にしながらコクコクと頷いて返事をした。
「……そんな冗談は本当におしまい。その、元彼氏の素性は俺にはわからない。けど、もしかしたら……って事もあるのは、風香ちゃんも考えたよね?」
「うん………」
「何かあってからでは遅いんだ。俺が風香ちゃんを守るためにも、何でもいいから気になることがあったら話してね」
風香は頬を自分で擦りながら、「わかった」と返事をした。
輝の話を柊に話したことで少しホッとした。
冗談交じりに風香に柊の気持ちを伝えてくれた彼の優しさに感謝しながら、風香は自分から柊に抱きついた。
「どうしたの?甘えて………反省したの?」と、優しく抱きしめ返してくれる柊。
風香は、改めて彼が愛しいと強く思ったのだった。