もう一度だけ、キミに逢いたい。

そんなゆりちゃんを見ていられなくて、私は料理を始めたんだ。


それまでは全然料理なんてして来なかったから色々と大変だったけど、ゆりちゃんのためを思えば、自然と頑張ろうって思えて。




『……美味しい。わたし、光ちゃんの作った料理なら食べられる』


そう言ってふわっと微笑んでくれたゆりちゃんを、私はこの先も忘れることはないだろう。


私が料理を作るのはただ一人。


───ゆりちゃんのため。


ゆりちゃんに美味しいって思ってほしくて。




だからなのかは分からないけれど、自分一人が食べるために何かを作る気にはなかなかなれなかった。


美味しいって言ってくれるゆりちゃんはいないし、何より一人で食べるなんて虚しすぎて。

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