もう一度だけ、キミに逢いたい。
「ゆりちゃんまさか……何も覚えてないの……?」
……そう。
ゆりちゃんはなぜ自分が意識を二日間も寝ていたのか、そして、伊織くんのことで嫌がらせをされたこと、その部分に関する記憶が綺麗サッパリ抜けていた……───
そのことを知ったゆりちゃんは、これ以上私に負担をかけたくないと思ったのか、泣くことを無意識のうちに我慢していたみたいだけど、気づけば私はゆりちゃんこう言った。
「……泣いて、いいんだよ」
って。
だって、一番辛いのは私じゃない。
記憶を一部失くし、そうなるまでに追い詰められた、ゆりちゃん本人なのだから……
私のその言葉に、ゆりちゃんは我慢せずに思いっきり泣いてくれた。
……ゆりちゃんの涙を見るのが辛くないわけではない。
むしろ、見るたびに胸が掻き毟られるように痛くなる。