もう一度だけ、キミに逢いたい。

「……ゆりちゃん。着いたよ、このお店」


「え……ここ?」


まだ学校を出て15分も経ってないくらい。


「そう。ここ、うちの大学からも近くて安くて美味しくて人気らしいよ?」


「へー……」


そう言えば、光ちゃんの大学はわたしの学校と近いもんね。


わたしなんかその理由で今の高校選んだようなもんだし…




「…ゆりちゃん。…おいで?」

「……ん」


わたしは素直に光ちゃんの手をギュッと握り、ピタッと背後にくっつく。


お店の人やお客さん達に変な目で見られたけど、気にしない気にしない。


…本音を言えばちょっと気持ち悪いんだけど。


「あ、光先輩来たー!」


「おかえり、結構早かったね」


「そうですか?あ、皆さんにご紹介します。私の後ろにくっついてるのが妹のゆりちゃんです。わけあって私の傍を離れないと思いますが、よろしくお願いします」

< 64 / 471 >

この作品をシェア

pagetop