僕に初めての感情を君が教えてくれた。


ドカッ

ドカッ

バターン!!


勢い良くドアが開いた。私達がドアの方を見ると、そのドアを開けた正体は、可愛らしい中学生くらい女の子だった。その女の子は、こちらに向かってくる。


えっ?もしかして、政宗くんの婚約者さんとかかな?でも、政宗くんは、好きなのは私だけって言ってたよね?でも、とりあえずこの体勢はまずいよね?あぁ~!どうしよう~!?


私が慌てていると、その女の子は、政宗くんの膝の上にいる私を引っ張ってきた。


あっ!ヤバい修羅場だ!私殴られるのかな?


ぎゅー


そう思い、目を閉じたとき、その女の子は抱き締めてきた。


えっ?どういうこと?


「ねぇねぇ!!あなたが、ロボットみたいなお兄ちゃんに感情くれた人でしょ?」


えっ?どういうこと?


もう、私の頭はパンク状態だった。


「ねぇ?お兄ちゃん!この人が未来の私のお姉ちゃん!?」

「うん!そうだよ!正確には未来の僕のお嫁さんだけどね。」


私は、妹さんから抱き締められていたから、政宗くんの顔は見えなかったけど、不機嫌な感じがひしひしと伝わってくる。


「ましろ!もう、そろそろいいでしょ?摩耶は僕のなんだから返して。」

「イヤよ。だって、お兄ちゃんやっと彼女出来たって聞いたから、彼女の写真見せて?っていったら、『僕だけの摩耶だからダメ!』って言って見せてくんないし、やっと実物の摩耶さんを見れたと思ったら、これでしょ?だから、ちょっと女同士で、しゃべりたいから私の部屋に連れて行きまーす。でも、安心して。晩ご飯のときには返すから。」


そう言って、私はましろさん?にましろさんのお部屋に連れて行かれた。




ましろさん?のお部屋は、お城に住むお姫様みたいなお部屋だった。


「摩耶さん、急に連れて来てごめんなさい。自己紹介が遅れてしまったわ。私の名前は、佐藤 ましろです。よろしく。」

「あっ!私も自己紹介しなくちゃ!私の名前は、今田 摩耶です。」


私が、あいさつするとまた抱き締められた。


「はぁ~!なんて可愛いの!お兄ちゃんが一目惚れって言ってたから、どんな人が来るか心配だったんだけど、雪也さん達が可愛くて、優しいって言ってたから、気になって見に行ったら、こんなにも可愛い人がいるんだもの。お兄ちゃんが好きなのも分かる。あのお姉ちゃんって呼んでもいいですか?」

「良いですよ。あの、私と仲良くしてくれますか?」

「もちろん喜んで!私、お姉ちゃん欲しかったの!お姉ちゃんこれからよろしくね。」


私も嬉しくなって、ましろちゃんに抱き締めた。


「いや~。本当にお兄ちゃんが、こんなふうに人を溺愛してるなんて、信じられない!だってね、お姉ちゃんと付き合う前は、家の両親って仲良くて、子供の前でイチャイチャするだけど、私は、恥ずかしいなって思いながら見てるんだけど、お兄ちゃんは、無だよ。それで、たまに私が彼女出来た?って聞くと、『僕が女子と付き合うなんて、絶対ありえない!!』とか言って怒ってたからね。

だから、私はお兄ちゃんがあのお姉ちゃんと付き合ってくれて嬉しい。ありがとう。でも、どうかお願い。お兄ちゃんに何があっても見捨てないで。たぶん、お姉ちゃんから見捨てられたら、今度こそお兄ちゃんロボットになっちゃうかも?」


ましろちゃんは真剣な顔で言った。


「大丈夫だよ!ましろちゃん!私が政宗くんを見捨てることはないよ。だって大好きだもん。逆に私が見捨てられないか不安だなぁ。」

「お姉ちゃん!それはないよ。私が保証する!」

「えっ?」

「だって、お姉ちゃんと出会う前は学校の話を一切したことないし、人に優しくしてるところを見たことないよ?」

「そうなの?うちの学校では、王子様みたいだよ。」


私がそういうと、ましろちゃんは驚いた。


「えっ?そうなの?でも、たぶん、それは、お姉ちゃんのこと好きだからだよ。だって、家に帰ってたら、『摩耶が可愛すぎる』って悶えてるし、ずっと思い出してはにやけてるんだよ。マジで、聞いてるこっちが恥ずかしい。しかも、バレンタインの日はいつもだったら、お兄ちゃん機嫌がすごく悪いんだけど、お姉ちゃんが、チョコあげたときあったでしょ?お兄ちゃん、家に、帰って来るなり『バレンタインっていいな。摩耶の手作り初めて食べる』とか言って悶えてたし、機嫌がものすごく良かった。」


ましろちゃんが嬉しそうに語った。それから、ましろちゃんの口から出てくる衝撃の事実に、聞いてる私が恥ずかしくなった。




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