16歳、きみと一生に一度の恋をする。



***


小学生の時、理科の授業で磁石について学んだ。

磁石には目に見えない線が出ていて、違う極同士を合わせると引き合い、同じ極同士だと反発し合う。

それは、同じものだと近寄ってはいけないという力が働くからだそうだ。

親に振り回されていることも、いちいち言葉を探してしまうところも、俺たちは似ている。

だからきっと惹かれ合ってはいけない。

そういう風にできているんじゃないかって、ふと思った。


汐里に払われた手が、やけにひんやりとしていた。

こんなはずじゃなかったのにと思いながらも、遅かれ早かれ、避けられないことでもあったと、妙に俯瞰してる自分もいる。

「晃が女の子と一緒にいるところなんて初めて見たわ。もしかして彼女?」

家に帰ると、母さんは買い物袋から食材を取り出して、冷蔵庫に入れていた。  

普段から学校のことに限らず、外での出来事もいちいち報告したりはしない。そのせいもあって、少し俺の秘密にでも触れたように、母さんは笑みをこぼしていた。

「さっきの子、汐里って名前」

「へえ、汐里ちゃんって言うのね」

能天気な声が返ってきたあと、気づくと俺はグッと手に力を入れていた。


「あの人の……一彦さんの子供だよ」

そう告げると、母さんの手が止まる。動揺してることは、その横顔からはっきりと感じ取れた。

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