16歳、きみと一生に一度の恋をする。


返事がないと思ったら、彼女は泣いていた。

こうやってひとりで涙していたことがどれほどあったのだろうか。

俺が慰めるのは違うとわかっていても、自然と肩を引き寄せていた。

汐里はあふれている涙を手で拭いながらも、俺のことを突き飛ばしたりはしなかった。


「ねえ、晃は前に自分はこれからもずっとお母さんの味方なんだって言ったこと覚えてる?」

「うん」

「私も同じ。ずっとお母さんの味方だし、これからも傍にいてあげたいって思う」

「……うん」

子供は子供。親は親と割りきることはできない。

それが繋がりであり、家族というものだってことを俺たちは痛いほど理解してるから。

「……難しいね、私たちは」

汐里が濡れた瞳で目尻を下げた。

ここで、強く抱きしめ合えたらどんなにいいだろうか。

最初はほんの少しでいいからと汐里に声をかけたはずだったのに……。

もう少しなんて言ってられないほど、大切になってしまった。

手も握れない。想いも伝えられない。

そんな関係が、ひどく苦しかった。

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