16歳、きみと一生に一度の恋をする。


「汐里がいなくなったら生きてる意味がないなんて……。本心ではなかったけど、勢いでも言ったってことは、頭の片隅で汐里がいないとダメなんだって寄りかかりすぎてたんだと思うわ」

申し訳なさそうな表情に、私は首を横に振った。

あれ以来、お互いにその話題には触れないようにしていたけれど、もしかしたらお母さんも話すタイミングを探していたのかもしれない。

「たしかにこの五年間で環境は変わったけど、私、大変だなんて思ったことないよ?」

疲れたり、ため息をつくことはあっても、私の原動力は間違いなくお母さんだった。

「私ね、お父さんが別の人の元に行ってしまった理由を考えていたのよ。私のなにが悪かったのか、どこで間違ってしまったのかって、あの日からずっとね」

お母さんの口から〝お父さん〟という言葉が出たのは五年間ぶりだ。

「お母さんはなにも間違ってないよ!」

そう言って布団から身を乗り出すと、次に首を横に振ったのはお母さんだった。 

「私にも悪いところがあったと思うの。もちろんお父さんもね。でも成長していく汐里を見て、間違い探しをすることが間違いだったって、ようやく気づいたのよ」

「……お母さん」

私たちの手はいつの間にか重なり合っていた。

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