16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「さっきの縁結び。本当はやりたかったんでしょう?」
そう聞かれて、私は首を横に振ることはしなかった。
「赤ちゃんの頃は癇癪が強い子だったのに、今までワガママも言わせてあげられなかったお母さんを許してくれる?」
「……っ、当たり前だよ。だって、私、お母さんのこと大好きだもん」
これから成長して社会人になれば、お母さんから離れる日が来るかもしれない。
でも私はずっとお母さんの娘だし、それは永遠に変わらない。いつまでも元気でいてほしい私の大切な人。
「お母さん。苦しいことを背負うのは今日でおしまい。これからは嬉しいことをたくさん見つけていこう」
「……汐里」
「もちろん旅行もいっぱい行こうね。それで、もういいって言うぐらい親孝行させて」
お母さんの瞳からぽろぽろと涙が溢れていた。私も視界が霞んでいる中で、繋がっている手を握り返す。
大丈夫とか、頑張ろうとか、自分自身を奮い立たせるのも今日で終わりにする。
大丈夫じゃない時は大丈夫じゃないって言う。
頑張れない時は頑張れないって言う。
私にはそれが一番難しかった。
でも、この瞬間からはきっとできるだろう。
綺麗ごとだけではない病気のことを話してくれた、きみのように。
一歩前に進んでいったきみに置いていかれないように、私ももう立ち止まらない。
今までずっと暗闇だったけど、私の中で小さな光が輝きはじめていた。