16歳、きみと一生に一度の恋をする。
「旅行の時に汐里から、これからは嬉しいことをたくさん見つけていこうって言われて、胸のつかえがスッと消えたのよ。私も汐里には色んなものを見て嬉しいことをしてほしいって思った」
「………」
「だから汐里の本当の気持ちを教えてくれる?」
「……本当の気持ち?」
聞き返すのと同時に、お母さんが私のことをまっすぐに見た。
「汐里はあの子のこと……晃くんのことが好きなの?」
それは、一度お母さんに聞かれて否定したことであり、自分自身にも自問自答していた言葉だ。
きみの声が聞きたい。
きみの顔が見たい。
きみに名前を呼んでほしい。
こんなにもはっきりとした気持ちが心にあるのに、それを認めてはいけないと思っていた。
「――うん」
でも、もう嘘はつかない。
お母さんにも自分にも。そして、彼にも。
「教えてくれてありがとう。現実的なことを考えると認めるには時間がかかるけど、汐里の気持ちは尊重したいって思ってる」
「……お母さん……っ」
「後悔しないように生きなさい」
「……うんっ、ありがとう」
自分のことなんて後回しだったけれど、譲れないものを、諦めたくないことを、ようやく見つけることができた。