16歳、きみと一生に一度の恋をする。
正直、私たちの生活は豊かではないし、色んなことを切り詰めないといけない時もある。
そんな中で、このお金を使えばお母さんはもっと楽ができたというのに、本当に一円たりとも下ろしていなかった。
「これはあなたの将来のためのお金よ。二年生になったら進路も見据えていくでしょう? 進学をしても就職をしても、このお金は汐里が自分のために使いなさい」
「お母さん……」
私は勝手に我慢強くなって、ひとりで不安を抱えているような気になっていたけれど、お母さんもお父さんも私のことをちゃんと考えてくれていた。
「……お母さん、私ね、今日お父さんに会ったよ。自分から話したくて電話をかけたんだ」
「そうなのね」
「怒らないの?」
「怒らないわよ。夫婦としての関係は終わったけど、あの人が汐里のお父さんということに変わりはないもの」
少しだけ、動揺したり取り乱したりするんじゃないかって思ったいたけれど、お母さんは驚くほど落ち着いていた。