16歳、きみと一生に一度の恋をする。


今思えば、私はいつもきみの言葉を心の手前で止めていた。これ以上深い場所に入らないようにと。

でもきみの声だけは、もう弾きたくない。

心を通して、ちゃんと聞きたい。

「……ハア……ッ、こんなんで息切れとかダセーな」

時間をかけて、晃は私の元にきてくれた。

「汐里」

名前を呼んでくれた瞬間に、彼は私の腕を優しく引いた。

ふわりと、きみの温もりに包まれる。

私も晃の背中に手を回して、その身体を強く抱きしめた。

「……うう、晃、晃、あきら……っ」

「なんだよ。聞こえてるよ」

このぶっきらぼうな言い方さえ、嬉しくて泣けてくる。

晃から感じる暖かさも、力強さも、匂いも、声も、重さも、全部が愛しくて仕方がない。


「汐里。俺はお前のことが好きだ」

さらに、彼が私のことをぎゅっとした。


「私も晃のことが好き。大好き……っ」

やっと言えた、本当の気持ち。


「もう離れないから、晃も私のこと離さないでよ」

「うん、離さねーよ。なにがあってもずっと」

きみと目が合って、想いを確かめるようにキスをした。


もう離ればなれにはならない。

ずっと寄り添いながら生きていく。


だって私たちの恋は――。

こんなにも一番近い場所にあるのだから。



END


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