16歳、きみと一生に一度の恋をする。
両親の不倫のことは俺が勝手に知ったことなので、ふたりはずっとバレていないと思っていたはずだ。
多分、俺も汐里からの手紙を見なければ、今も知らないままだったかもしれない。
学校に着いて三組に向かっていると、廊下に汐里がいた。一瞬だけ重なった視線はすぐに逸らされてしまった。
〝あんたなんか大嫌い!!〟
そう言われてしまうことは予想していた。
むしろそれは正しい感情だと思う。
でも実際に直接言われるとショックを受けてる自分がいる。俺にはそんな風に思う資格はないのに。
「おい、藤枝」
声をかけられて振り向くと、そこには澤村が立っていた。
「お前、来月の中間テストだけはサボらずに受けろよ。このままの状態が続いたら留年もありえるからな」
家族以外しか知らない病気のことは、唯一担任である澤村だけには伝えてある。
病気によって遅刻したり早退することは許されているけれど、その他のことは全部俺の怠け癖のせいだ。
「……わかってるよ」
「あんまり親御さんに心配かけるようなことはするなよ」
澤村はそう言って、俺の頭をプリントで軽く叩いた。