転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「私の〝千里眼〟は〝今〟しか見えない。あなたの〝予知能力〟は〝未来〟しか見えない。つまり、私たちは互いの力で互いの欠点を補える」
「……!」

 〝今〟しか見えない私は、なにかが起きても時すでに遅し。ということになるが、フィデルが〝未来〟を見られることにより、なにかが起きるまでの道筋を監視し、対策することができる。

 〝未来〟しか見えないフィデルは、いつその出来事が起こるかわからない。でも私が〝今〟を見ることにより、その未来がいつ起きるのかを大体予測することができる。

「私とあなたは、ふたり揃えば最強のコンビになる」

 自身たっぷりな笑みでフィデルに言えば、驚いた顔で私を見ていたフィデルがふっと小さく鼻で笑った。

「……暇つぶしに、お前の話に乗ってやろう。この国で唯一の、異能仲間だからな」
「ほ、本当!? やった! 頑張ってここまで来た甲斐があった! ありがとうフィデル!」

 フィデルから無事協力を得られた喜びで、私はフィデルの腕を掴み、その場で何度もぴょんぴょんとうさぎのように跳ねた。フィデルはそんな私を珍しいものでも見るような目で見ていたが、細かいことは気にしない。
< 33 / 147 >

この作品をシェア

pagetop