転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「何から何まで、ほんっとうにありがとう! ニール! 絶対ニールに迷惑かけるようなことはしない……と思う!」
「あはは! 迷惑かけられたっていいですよ。私はなにがあっても、最後まで、フィデル様と、フィデル様のそばにいる方にお仕えし続けますから」
口元に手を当てて、ニールは上品に笑いながら言った。ニールはこんなにフィデルを想っているのに、フィデルはそのことに全然気づいてないであろう事実になんだか切なさを感じる。
「では。あまりここで長く立ち話するのもアレなので。食器は明日の朝まとめて下げにきます。おやすみなさい。シエラ様」
「おやすみ。また明日ね」
ニールは礼儀正しく頭を下げると、そのまま夜の暗闇の中に消えて行った。
「お待たせ! フィデル!」
私は大きなバッグとパンが入ったかごを持って、フィデルのいる部屋へと戻った。
どさっと重たさを感じる音を立てバッグを床に落とせば、フィデルはぎょっとした顔で私を見る。
「ちょっと待て。なんだその大きな荷物は。お前まさか、ここに泊まるつもりじゃないだろうな」
「え? そうだけど。今日っていうか、しばらくの間は。ここにいればなにかあったとき、すぐ一緒に行動できるし」
『今日中に城から出て行かなきゃいけなかったし、他に行くとこないんだもの』と言って、私はかごからクロワッサンを取り、フィデルの隣に腰かけると、フィデルは何故か後ずさる。
「行くところがないって、自分の元々住んでいた家があるだろう。それに、お前が婚約破棄されたという通達は家族のもとに届いているはずだ。悲しんでいる家族が、心配じゃないのか?」
「心配っていうか、申し訳なさすぎて合わす顔がないっていうか。……あ、見えた。ものすごく落ち込んでいる私の家族」
気になって力を使い、家族の様子を見て見れば、テーブルを挟んで肩を落とす父と母の姿があった。うぅ……不甲斐ない娘でごめんなさい。
「〝千里眼〟の能力を使えば、いつでも様子がわかるから心配いらないわね」
「へらへらするな。そういう問題じゃないだろ。ちゃんと顔を見せるのと勝手に見るのではわけが違う」
「はいはい。ちゃんと明日の朝、家族に会いにいってくるわよ」
「今すぐ行け」
どうしてフィデルは、私がここに泊まることを嫌がるのだろうか。
はっ! まさか。私を女として意識しすぎて、緊張しちゃってるんじゃ……。
「あはは! 迷惑かけられたっていいですよ。私はなにがあっても、最後まで、フィデル様と、フィデル様のそばにいる方にお仕えし続けますから」
口元に手を当てて、ニールは上品に笑いながら言った。ニールはこんなにフィデルを想っているのに、フィデルはそのことに全然気づいてないであろう事実になんだか切なさを感じる。
「では。あまりここで長く立ち話するのもアレなので。食器は明日の朝まとめて下げにきます。おやすみなさい。シエラ様」
「おやすみ。また明日ね」
ニールは礼儀正しく頭を下げると、そのまま夜の暗闇の中に消えて行った。
「お待たせ! フィデル!」
私は大きなバッグとパンが入ったかごを持って、フィデルのいる部屋へと戻った。
どさっと重たさを感じる音を立てバッグを床に落とせば、フィデルはぎょっとした顔で私を見る。
「ちょっと待て。なんだその大きな荷物は。お前まさか、ここに泊まるつもりじゃないだろうな」
「え? そうだけど。今日っていうか、しばらくの間は。ここにいればなにかあったとき、すぐ一緒に行動できるし」
『今日中に城から出て行かなきゃいけなかったし、他に行くとこないんだもの』と言って、私はかごからクロワッサンを取り、フィデルの隣に腰かけると、フィデルは何故か後ずさる。
「行くところがないって、自分の元々住んでいた家があるだろう。それに、お前が婚約破棄されたという通達は家族のもとに届いているはずだ。悲しんでいる家族が、心配じゃないのか?」
「心配っていうか、申し訳なさすぎて合わす顔がないっていうか。……あ、見えた。ものすごく落ち込んでいる私の家族」
気になって力を使い、家族の様子を見て見れば、テーブルを挟んで肩を落とす父と母の姿があった。うぅ……不甲斐ない娘でごめんなさい。
「〝千里眼〟の能力を使えば、いつでも様子がわかるから心配いらないわね」
「へらへらするな。そういう問題じゃないだろ。ちゃんと顔を見せるのと勝手に見るのではわけが違う」
「はいはい。ちゃんと明日の朝、家族に会いにいってくるわよ」
「今すぐ行け」
どうしてフィデルは、私がここに泊まることを嫌がるのだろうか。
はっ! まさか。私を女として意識しすぎて、緊張しちゃってるんじゃ……。