転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 もう何年も行っていないが、あのおもちゃ屋さんなら私も知っている。手作りで変わったおもちゃがたくさん売っている、夫婦で営んでいる店だ。幼い頃、貧しくて新しいおもちゃが買えなかったので、よく壊れたおもちゃを修理してもらっていた。

 店番をしているってことは……コディって、あのおもちゃ屋さんの息子? でも、私とロレッタと同じ学園に入ってるなら、そこそこお金持ちか、いいところの生まれのはずだ。

「フィデル。コディは今、街のおもちゃ屋で店番をしてるみたい。いなくなる前に会いに行こう」
「おもちゃ屋? あいつ、貴族じゃないのか?」
「うーん。その辺は私もちょっと謎に感じてるところ」

 そんな話をしながら、私とフィデルは城を出ておもちゃ屋へ向かった。今日はあまり天気がよくないからか、商店街も人通りが少ない。
 おもちゃ屋へ着き、中に入る。店内は、昔とちっとも変わっておらず、懐かしい気持ちがこみ上げてきた。

「……いらっしゃいませ」

 私たち以外客のいないガランとした空間に、やる気のない店員の声。

「あなたがコディね!?」

 声の主こそ、お目当ての人物、キノコ眼鏡くんことコディ・フェーヴル。生で見ると、地味ではあるが、小さくてかわいい感じの普通の男の子だ。

「は、はい……そうですけど……」

 コディはびくびくしながら、私とフィデルをまじまじと見る。

「あの、シエラ様、ですよね?」

 おぼつかない口調で、コディは言った。

「私のこと知ってるの!?」
「はい。一応、同じ学園だったので……。それに、エリオット様の婚約者ということで有名でしたから」

 コディは一方的に、私のことを知っていたようだ。確かに、あの学園に通っていて私のことを知らなかった生徒はいないだろう。

「えっと、じゃあこちらの方はもしかして……フィデル様ですか?」
「そうよ! フィデルのこともわかるなんて、あなた、この前の夜会にきていたの?」
「いえっ! 僕は招待すらされていませんでしたし。でも、夜会での話は国中に広まっていますよ。今いちばん国で注目されてるおふたりが、こんなところに来るなんて……」

< 73 / 147 >

この作品をシェア

pagetop