転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「フィデル。よく眠れたか?」
静かな廊下に、コツコツという足音と共に、エリオットの声が響いた。
俺のいる地下牢の前で足を止め、鉄格子の向こうから俺に笑いかけてくる。隣には、婚約者のロレッタもいた。
「その顔を見る限り、あまりいい夢は見られなかったようで残念だ」
エリオットは、無様な俺の姿を見て心底嬉しそうにしている。俺はなにも言わず、ただエリオットを睨みつけた。
「どんな気分だ? せっかく俺と父様の目を盗んで、十年ぶりに外に出られたのに、こんなところに入れられるなんて。お前は、存在を隠して別邸でおとなしく生きていればよかったんだ。温かいご飯を食べられて、ふかふかのベッドで眠れて、不自由のない生活を送れていたじゃないか。それが、シエラにちょっとなにか吹き込まれたくらいで……自信を取り戻すなんて、生意気なんだよ」
俺に目線を合わせるように、エリオットはしゃがみこむ。エリオットが両手で力強く鉄格子を掴むと、鉄格子はガシャンと音を立てて揺れた。
「お前は、シエラに利用されただけだ」
「……黙れ。なにしにここへ来た」
「そんなに怒るなよ。ロレッタが怖がっているだろう。出かける前に、お前の歪みきった顔を拝んでやろうと思っただけだ」
「相変わらず悪趣味だな。出かけるって、その変な格好でか?」
半分ほどしか開いていなかった目を開いて、ふたりのことをよく見ると、いつもとは違う服を着ていた。
「変となんだ。これはお前が着ることのなかった、学園の制服だ。今日は卒業生代表としての演説だが、最後にもう一度着てみようと思ってね」
「エリオット様。よくお似合いですわ」
立ち上がったエリオットの腕に、ロレッタが自分の腕を絡ませる。
静かな廊下に、コツコツという足音と共に、エリオットの声が響いた。
俺のいる地下牢の前で足を止め、鉄格子の向こうから俺に笑いかけてくる。隣には、婚約者のロレッタもいた。
「その顔を見る限り、あまりいい夢は見られなかったようで残念だ」
エリオットは、無様な俺の姿を見て心底嬉しそうにしている。俺はなにも言わず、ただエリオットを睨みつけた。
「どんな気分だ? せっかく俺と父様の目を盗んで、十年ぶりに外に出られたのに、こんなところに入れられるなんて。お前は、存在を隠して別邸でおとなしく生きていればよかったんだ。温かいご飯を食べられて、ふかふかのベッドで眠れて、不自由のない生活を送れていたじゃないか。それが、シエラにちょっとなにか吹き込まれたくらいで……自信を取り戻すなんて、生意気なんだよ」
俺に目線を合わせるように、エリオットはしゃがみこむ。エリオットが両手で力強く鉄格子を掴むと、鉄格子はガシャンと音を立てて揺れた。
「お前は、シエラに利用されただけだ」
「……黙れ。なにしにここへ来た」
「そんなに怒るなよ。ロレッタが怖がっているだろう。出かける前に、お前の歪みきった顔を拝んでやろうと思っただけだ」
「相変わらず悪趣味だな。出かけるって、その変な格好でか?」
半分ほどしか開いていなかった目を開いて、ふたりのことをよく見ると、いつもとは違う服を着ていた。
「変となんだ。これはお前が着ることのなかった、学園の制服だ。今日は卒業生代表としての演説だが、最後にもう一度着てみようと思ってね」
「エリオット様。よくお似合いですわ」
立ち上がったエリオットの腕に、ロレッタが自分の腕を絡ませる。