人格矯正メロディ
よかった。


これで助かった……!


そう思ったのも、つかの間のことだった。


ずんずん歩いてくる両親に表情がないことがわかった。


海や香澄と同じように、どこを見ているのかわからない目であたしを見ている。


一抹の不安が胸をよぎった。


まさか、両親も……?


そう思った時には遅かった。


両親はすでにあたしの目の前にやってきていて、あの目であたしを見下ろしたのだ。


恐怖で胸を鷲掴みにされた状態で、あたしはほほ笑んだ。


「あ、あのねお母さん。この子たちがね」


必死で説明するあたしの声も、両親に届いているかどうかわからなかった。


なにを言っても無表情の両親を見ていると、背中に冷たい汗が流れて行って呼吸が荒くなって来た。


「ね、ねぇ……聞いてる?」
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