人格矯正メロディ
「まずはものは試だよ。本当にそのアプリが効果的なのかどうか、やってみないと」


「やってみるって言われても……」


自分のせいで他人の人格が変わるなんて、考えただけでも恐ろしかった。


それをお試しでやってみるなんて躊躇してしまう。


「たとえば、ほら」


コトハが指さした先を見てみると、教室から田村が出て来たところだった。


田村が歩くだけで他の生徒たちがあからさまに距離を置いている。


「田村に使うの?」


「そうだよ。田村は絶対に星羅のことが好きだもん。だからそのアプリで曲を聞かせて、星羅に興味がなくなるように仕向けるんだよ」


コトハの言葉にあたしは目を見開いた。


田村があたしに無関心になるのなら、これほど嬉しいことはないだろう。


でも、本当にそんなに上手く行くだろうか?


だいたい、このアプリはどんな曲が流れるんだろう?


次々と疑問が浮かんで来て硬直してしまうあたしを尻目に、コトハは1人で田村に声をかけにいってしまった。


「ちょっとコトハ!」


慌てて引き止めようとしても、もう遅い。
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