人格矯正メロディ
ギョロリと大きく見開かれた目は文庫の文字を追い掛けて上下に激しく動き、あまり眠っていないのか目の下にはクマがくっきりと浮かんできていた。


充血した白目は真っ赤に燃えていて、咄嗟にユズから視線を逸らせた。


見てはいけないものを見てしまった気分で、苦い物を飲み込んだ後のような気分の悪いさを感じた。


「ユズ、ちょっと話があるんだけどいい?」


それでもコトハはいつもの口調で声をかける。


するとユズはようやく文庫本から視線を上げた。


コトハはユズの血走った目を怖がる素振りも見せず、ユズをつれて教室を出たのだった。
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