人格矯正メロディ
「コトハ!」


そこにいたのはクラスメートの小柳コトハだったのだ。


コトハは素足で走るあたしを見て何事かと目を丸くしている。


あたしは来た道を振り返り海が追いかけてきていないとわかると、コトハの腕を掴んでひと気のない空地へと移動した。


「ちょっと、なにがあったの? 顔真っ青だよ?」


「もう……大丈夫」


あたしは深呼吸をしてそう答えた。


いまだに心臓はバクバクと早鐘を打ち続けているけれど、とにかく海を巻く事に成功したようだ。


「もしかして海?」


コトハにそう聞かれて、あたしは俯いた。


汗のせいか涙のせいか、視界がボンヤリと滲んでいて自分が立っている場所に危うさを感じた。


「頬、腫れてるね」


コトハが気がつき、あたしの右頬に触れて来た。


それはさっきまでよりよほどひどく腫れてきているようで、コトハの冷たい指先が触れるだけで鋭い痛みが走った。
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