恋人のフリはもう嫌です
西山透哉side
「お兄さん。今日は元気ないわね」
ボランティアで、顔を出している養老施設。
そこで仲良くなったおばあちゃんが、俺に話しかけ頬を緩ませた。
ここへは週末に来て、入居者の話し相手や将棋に付き合ったりしている。
「雅子さんには、なんでも見抜かれるなあ」
彼女につられ、俺も頬を緩ませる。
おばあちゃんっ子だった自分の祖母が、この施設に入居していた。
祖母が亡くなり、ぽっかり心に穴が空いたように感じていた時にボランティアがあると知り、祖母が健在の頃と変わらず通い続けている。
ボランティアに来て、元気付けられたり励まされているのは、いつも俺の方だった。