恋人のフリはもう嫌です
まだ会社の仕組みもよくわかっていない私が務まるのかという不安を感じつつ、数日後には実際に使用する機器のメーカーを見に行く手筈となった。
健太郎さんが数社には絞ってくれてあるようで、最終的に1社に絞るのは西山さんと私にかかっている。
そのまま、健太郎さんと西山さんがやるのが自然の流れだと思うとは、口に出せない。
社用車で行くからと、西山さんに案内され、会社の駐車場まで歩く。
「千穂ちゃん、免許は?」
「必要なくて、取っていないです」
「そうだよね。持っていない方が安心かも」
最後の言葉は聞き捨てないないけれど、反論も出来ず聞き流す。
社用車はよく見る、商用車らしいシルバーの車。
助手席のダッシュボードに『禁煙』と、でかでか貼ってあるのに、煙草臭くて眉を寄せた。