恋人のフリはもう嫌です
「ああいう人は、的外れな内容で連絡してくるから論外。千穂ちゃんは悩み抜いた末に、システムが停止すると初めて相談する。もっと早く頼ってくれてもいいくらいだ」
「それは」
自分で解決できるのなら、西山さんの手はもちろん、吉岡さんの手だって煩わせたくない。
私の困り顔を察知したのか、彼は自分の発言を訂正した。
「いや。今のは私情を挟んだかな。少しでも千穂ちゃんと話したいから」
そう言って再び目を閉じてしまう彼に、慌てて訴える。
「あの、眠ってしまわれたら、どうしていいか」
「ん。眠い」
「西山さん」
「ん」
「透哉、さん?」
「ん、千穂ちゃん。好きだよ」
「え」
胸がギューッと掴まれたように痛くなり、顔が熱くなっていくのがわかる。
爆弾を落とした当の本人は、気持ち良さそうに寝息を立て始めた。
「からかった、んだよね?」
動揺丸出しの震えている声に返答はもらえず、彼と同じようにテーブルに腕と頭を預けた。
しばらく彼を見つめ続け、彼の寝息に誘われるように私も眠ってしまった。