エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
仕事を定時で終え、こずえとの待ち合わせ場所である駅に隣接した大衆居酒屋へ向かった。

店に入るとこずえが手をふった。

「ごめんまった?」

「ううん。私も今きたところ。何飲む?」

「ビール」

こずえは呼び出しボタンを押し、店員にビールとおつまみを数点注文した。

お通しとビールを受け取ると「お疲れ〜」と乾杯をする。

二人で同時に流し込むようにビールをごくごくと飲む。

「ところで何があったの?」

心配そうにこずえが尋ねる。

私は深呼吸をすると「実はね、私会社を辞めることにした」と言い、再びビールを飲んだ。

こずえは案の定驚きを隠せなかった。

「なんで?仕事が好きで名字を変えてまで入社した泉がなんで?まさか結婚するから?」

「うん。最初は仕事を続けようかと思ったんだけど……ほら私っていずれは社長夫人じゃない?そんな社長夫人が親の会社とはいえ他社で仕事って体裁悪いかな〜って思って」

本当のことを言ったら泣いてしまいそうだった。

だから心にもないことを言ってごまかした。

だがこずえにはわかってしまう。

「それ本気で言ってたら私あんたと友達やめるよ」

こずえはビールを一気に飲むと、大きな声で店員を呼びビールを注文した。

「あのさ、泉なんかあったよね」

「え?」

「ごまかしても無駄。あんた好きな男いるでしょ」

ドキッとした。

「え?な、なんで?」

「ついでにその男の名前も言ってあげようか?」

「こずえ何言ってるの?冗談は——」


「堤課長……そうよね」


私は目が点になった。

なんでバレちゃったの?

するとビールが届く。

こずえはビールを飲むとにやりと笑った。

「知りたい?その前に質問に答えて」
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