転生人魚姫はごはんが食べたい!
「使用人の身でありながらこのようなことを申し上げ、大変おこがましいと思われるかもしれませんが……旦那様はわたくしにとって実の息子も同然なのです! ですからどうか、わたくしたちの旦那様をよろしくお願い申し上げます!」

 いつの間にか私の手はイデットさんによってがっしりと捕まれていた。

 あの、イデットさん? 貴女細く見えるんですけど、どこにそんな力が隠されているんですか!? びくともしないっ!

 とても断れる雰囲気でないことは察してもらいたい。

「あの。失礼ですが、私は疑われていたのでは?」

「――は?」

 イデットさんは本気でわけがわからないという顔をした後、怒涛の勢いで語りだした。

「何をおっしゃられるのですか! 旦那様が幸せになるために必要な方だというのであればわたくしが口を出すことは何もございません。使用人一同、同じ心つもりでおります。わたくしたちは奥様がどのような立場の人間であろうと余計な詮索はいたしません」

 そういえばあの人、私のことをどう説明しているのかしら……
 ひとまず人魚であることは隠しておくべき? もう少し詳細に打ち合わせしておくべきだったわね。

「奥様。お召し物、大変よくお似合いでございます。それでは僭越ならが、わたくしイデットが責任をもってお城までの道のりを案内させていただきましょう」

「え、ええ……よよろしく……え? お城?」

「はい」

 そう告げてイデットさんは静かに歩き出した。慌てて私が後を追うと、砂浜からとある場所を示す。

「あちらまで――」

 目に見える場所ならそう遠くもないわよね……って……

「まさか……!」

 イデットさんの視線の先には私自身もお城だと言って目印に使わせてもらった建物がある。

 目的地、というか私が住む場所ってもしかしなくてもあそこ!?
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