My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

13.海賊のアジト


 急遽、私たちはグリスノート達について海賊団ブルーのアジトへ向かうことになった。

 アジトはリディアンちゃんの家より更に岩山を登っていった山頂付近にあるらしく、私はまたひとりぜいぜい言いながら背後にいるラグにせっつかれるようにしてでこぼこで急な階段を登っていた。
 夜明けが近いのか空が白み始めていて先ほどより視界は悪くないが、やはり気を付けていないとうっかり踏み外してしまいそうだ。

 少し前を行くセリーンにオルタードという人物について訊ねたかったけれど、その硬い表情を見ていたらなんとなく声を掛けられないでいた。その人物が、彼女の会いたがっていた海賊団の「長」だと知って明らかにショックを受けていたようだったけれど――。

「あなた、カノンだったかしら。女の子だったのね」

 大分先を進んでいたはずのリディアンちゃんが待っていてくれたのかそう声を掛けてきてどきりとする。――彼女も私たちについて来ていた。
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