My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 私はあれから着替える暇もなく男装したままだったが、先ほどの会話でどうやらバレてしまったみたいだ。

「ご、ごめんなさい。騙したりして」
「いいのいいの、それはお互い様。私も海賊のこと知らないふりしたりして、ごめんなさい」

 そして、私たちは笑い合った。

 ――あのグリスノートの妹だと知って驚いたけれど、普通の良い子みたいだ。
 だがリディアンちゃんの視線が後ろのラグに移る。

「でも、あなたは一体どうなってるの? さっきは確かに小さかったわよね?」
「……」

 しかしラグは話す気がないらしく顔も上げなければ口も開かない。慌てて私は言う。

「なんというか、術の一種みたいなもので」
「あぁ、そういえば術士がいるって兄貴たちが言ってたっけ。術って不思議ねぇ。――あ、ということは、カノンの方が妹ってこと?」
「あー、えっと、……ごめんなさい。兄弟っていうのも実は嘘で」
「そうなの? うちと同じだと思ったのに」
「ご、ごめんなさい」
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