My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「追いかけるんだよね? 術で飛ぶの? でも向こうが安全かどうかわからないし、私が歌って」
だがぎろりと睨まれ私は口を噤んだ。ラグは遠く見える海賊船に視線を向けた。
「あいつ、海賊船に乗り込んだ後で俺にお前を頼むと言いやがった」
「え?」
それを聞いてどきりとする。
――それって……。
どんっとラグが船縁を叩く。
「くそっ、あいつがいなくなると金髪野郎の手掛かりが消えちまう」
そうだ。セリーンの家にあったというエルネストさんの肖像画。それが今唯一の彼の手掛かりなのだ。それを追ってセリーンの故郷のあった地へと向かっているのに彼女がいなかったら捜しようがない。
でも今はそれよりも“なぜ”という疑問の方が遥かに大きくて。