はやく俺のモノになればいいのに
それから、10分がたった。


実柑はああ言っていたけれど、やっぱり待つだけなんて無理だよ。


私だと勘違いされた実柑が危ない目に合っていいわけがない。


教室を、飛び出す。

行き先はわからない。


誰かに聞いてみようか。

実柑は目立つから、特徴を伝えれば見かけたって人に出会えるかもしれない。


「――あ」


前方から歩いて来る男性を見て、足を止めた。


「……っ、あの!」

「はい」


わたしに呼び止められた男性も、立ち止まる。


「え……と」

「どうされました?」


柔らかい物腰の、敬語で話す三十くらいの男性は


すっと鼻が高く小顔かつ塩顔の、白衣がとても似合うイケメン。
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