はやく俺のモノになればいいのに


「なになに。妄想?」
「あいたたた」


妄想なんかじゃないよ。


「ユキさんは私のことすごく大切に想ってくれてるの」
「こっわ」
「病んでるじゃん絶対」


焼かないで。

その子が何をしたっていうの。


「ぬいぐるみに、罪はないでしょ」
「じゃああんたが焼かれたら」


黒ごまのキーホルダーが、プールへと投げ入れられる。


ポチャン


「ちゃんと抑えときなよ」


髪を掴んで引っ張られる。


「いたっ……」
「誓えよ。『私は、もう二度と御幸先輩に近づきません。チョーシにのって、すみませんでした』って」


言いたくない。


「焼かれていいの?」
「私は……っ」


私は――……


「ユキさんに愛されてる」
< 429 / 553 >

この作品をシェア

pagetop