触れたい、できない



「……っぐす………ぅう」




私は駅に向かって走りながら、自然と零れてくる涙をぬぐった。



…なんで涙なんか出てくるの?



別に、万屋に突き放されただけなのに。



あの、第一印象最悪な超毒舌男だよ?



もともと、仲良くなれるはずなんて無かったんだ。



…本来そうなるはずの正しい関係に戻っただけ。




「……ふ、」



そう自分に言い聞かせても、止まらない涙。



私はギュッと目をつぶった。





_駅には幸い、あまり人がいなかった。




まばらに会社帰りのサラリーマンがいるくらい。



私はなぜかふっと力が抜けて、その場にしゃがみこんだ。



…あーもう、何してんの私…



こんなとこに座り込んだら、変に思われる……



そう思いながら力を入れても、立ってくれない私の足。



_ほんと、何やってもダメだ私。




「……も、やだ………」




私が思わずそうつぶやいた



_瞬間




「あっれえ、どしたん?そんなとこに座り込んで〜」




上から、誰かの声が降ってきたんだ。



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