触れたい、できない



「_君ひとり〜?可愛いねえ」




顔を上げると、そこには1人のおじさんが立っていた。




まだ夕方なのに、相当酔っ払っているのかフラフラしている。




「えっ、と……っ」




私はいつものように堂々と立ち向かおうと、口を開く。




_でも








……あ、れ?なんで………?




いつものように、スルスル言葉が出てこない。






泣いてるから?



怖いから?




_嗚咽が邪魔をして上手く話せない。



そんな私を見たおじさんは、ニタァと笑った。



「泣いてるのかいぃ?可哀想に…おじさんといい事して、元気になろうか〜!」



そう言った瞬間に掴まれる、私の腕。



「ひっ」



反射的に振り払おうとするも、酔っ払いおじさんは男で、私は女。




到底振り払えるはずもなく、




「…やっ!やめて下さ…っ」




私はどうしようもない恐怖でギュッ目を閉じた。

< 51 / 53 >

この作品をシェア

pagetop