触れたい指先、触れられない心
え……? 今から霞さんがサヤカに……?
やましい事はないって分かってるけど……あの女にはまだ霞さんへの未練が……
でも、大丈夫……。霞さんは沢山の本音を伝えてくれた。これ以上望むわけには……
「大丈夫です……行ってきてください……」
喉元から出かけた言葉を必死に噛みしめて、わたしは呟くように返した。
「そうじゃない……一緒に行くんだ」
「え……?」
霞さんの意外な返答に、思わず素っ頓狂な声が漏れた。
「直接二人で会いに行くんだ。そこで話をつけよう」
「……っ! はいっ……!!」
三人で話す……
でも、わたし居ていいのかな……?
「わたし、邪魔になりませんか?」
「何故だ? 詩音がいないと意味がない」
「でもっ……」
「詩音は俺の傍にいればいいんだ」
霞さんはそう言ってわたしの手を取った。
そうは言っても……会って一体どうするの? キッパリ断る? それだとなんだかあの女が可哀想な気もする。
「……霞だ。今から昨日の海岸に来てもらえないか? ……ああ、かたじけない」
霞さんは電話を切るなりわたしの方を向いた。
「詩音、気持ちを組んであげられなかったこと、本当に申し訳ないと思っている」
「そんな……! ただわたしがワガママで欲張りなだけで……本当にごめんなさい」
「いや……詩音がまた笑顔に戻ってくれるのなら、俺は何だってする」
霞さん……
そんなこと言われたら、嫌でも勘違いしちゃう。
霞さんはわたしの事好きという訳でもない。
ただ、婚約者としてわたしに尽くそうとしてくれているだけ……
でも、このまま霞さんがわたしを好きになってくれなかったら……愛のない結婚をすることになるの?
霞さんが、わたしを選んでよかったって思えるように、頑張らなきゃ……
とは言っても、今のところ何もできてないし……逆に迷惑かけてばっかり。
この件が終わったら、何か作戦を考えないと……