からふる。~第5話~
「あのさ」


「はい」



突然神谷くんが話しかけて来た。


ばっちり目が合う。


黒と紫が混ざったような深い色の瞳。


ぱっちり二重で、鼻筋もすっとしていて高く、誰が見てもイケメンって言うと思う。


胸がとくんっとなり、頬が熱くなった。



「えっと...その、なんて呼べばいいかな?」


「わ、わ、私のことで、ですか?」



や、ヤバイ。


緊張して噛みまくりだ。


落ち着け、私。


しっかりしろ、紗彩。



「朱鷺田さん?紗彩ちゃん?それとも他に何か...」


「あっ、えっと...さーやちゃんでいいです」


「じゃ、さーやちゃんで。オレのことは"しゅう"でいいよ。これから3年間よろしくね、さーやちゃん」


「はいっ!よろしくお願いします!」



うん。


この人は良い人だ。


たぶんすぐに仲良くなれる。


この顔面偏差値の高さを覗けば至って普通と見た。


同級生だし、学校の女子たちには本当に申し訳ないけど、頼りにさせていただきます。


黄海くんには頼りにされそうだから。





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