からふる。~第5話~
弱火でじっくり煮込むこと1時間半。


時刻が6時を回り、私はテーブルに全員分の箸、スプーン、フォークを並べた。


食べないであろう黒羽くんという方の分もきちんと用意する。



「さあやちゃんっ!」


「うわっ!びっくりしたぁ...」


「澪先輩黒ちゃんを説得しに行ったから僕が運ぶねぇ」


「ありがとう。じゃあお盆に乗せるから2人分ずつ運んで」


「りょおかぁい」



なんだ、いいこじゃん。


ちょっとハグ多めで頼りないけど、素直だしお手伝いもしてくれるし。


良かった...。


誰にも相手にされないなんてことがなくて。


倒産してから白い目で見られ、誰からも話しかけられなかったりしたから、こういう普通の会話が懐かしくて心がぽかぽかする。


カレーを分けてる間もずっとくっついている黄海くん。


私も寂しがりやだからそうしてくれた方が嬉しいよ。



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