強引な彼と恋のマジックドライビング
病院に着くと父は手術中で

「お母さん!」

と待ち合い室で祈るように座る母を見つけて、泣きながらその腕の中に飛び込んだ。

「朝陽、仕事中に会社に電話して驚かせてごめんね。

お父さん、命に別状はないから大丈夫よ。
大地がお父さんのこと守ってくれたから大丈夫。
もう泣かないの」

母の手が優しく私の背中をなでた。
ようやく落ち着つき母から離れると、母は蓮司に目を向けて頭を下げた。

「お仕事中にお騒がせしちゃってすみません。
朝陽を送ってきてくれてどうもありがとう」

母の目が蓮司のツナギの胸元をじっと見つめた。

「えっと…こう…だ…さん?」

私の顔が一気に青ざめた。
人事異動のゴタゴタで、まだ両親に蓮司と別れたという私の作り話の嘘を
話していなかった。

蓮司がハハニ頭を下げて挨拶をする。

「 朝陽さんと同じ本社営業所で工場長をしております香田蓮司です」

「れんじさん?
あらっあらあらっ!
もしかしていつも朝陽が家で話してる蓮司くん!?」

母の目が途端に嬉しそうに輝いた。
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