強引な彼と恋のマジックドライビング
***

柚月のマンションは、家からさほど遠くない場所にあった。

簡単な夕飯を手早く作ってくれた柚月は

「いいな、こういうの。
早く朝陽と毎日こうして一緒に飯食たいな」

とご機嫌だ。

食後のコーヒーをおとしながら、柚月は寝室に行くと一冊のアルバムを手にして戻ってきた。
私に黙って差し出してキッチンに向かうと、カチャカチャとカップを用意する音と部屋中にコーヒーの香りが広がった。

私が手にしていたのは高校の卒業アルバム。

それは、私にも見覚えのあるものだった。

迷わず兄のクラスのページを開いてクラス写真でその名を探す。

”新田柚月”

そこには兄と同じように金髪にビアスという不良のいでたちの彼が、やんちゃな笑顔で写っていた。
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