強引な彼と恋のマジックドライビング
私の心臓がどくんと嫌な音をたてる。

「お兄ちゃんの友達‥‥」
頭がズキンと痛みこめかみを抑えると

「大丈夫か?」
柚月が心配そうに私を見つめる。

「どうして‥‥。」

ぎゅっと目を瞑ると、懐かしい兄の姿が脳裏に浮かぶ。

「朝陽ちゃん」

私にいつも制服のポケットからチョコを差し出す兄以外の大きな手‥‥。

我が家によく遊びに来ていた、兄と同じいでたちの兄よりも格段に格好良いお兄さん‥‥‥。

「し、ん‥‥ちゃん?」

見開いた目の前には柚月が嬉しそうに微笑んでいた。
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