強引な彼と恋のマジックドライビング
目頭がだんだんと熱くなり、目が潤み出した私に気がついた柚月は、重い空気を変えるように、クスクス笑いながらおどけて話し出した。

「まぁそもそも大地のやつが俺のこと "しんた" って呼んでたからわかんないよな。
俺の名前聞いたってピンとこなかっただろ?
朝陽も朝陽の親も遊びにいけば俺のこと "しんちゃん て呼んでたもんな」

「そうだよ!
なんでお兄ちゃんは柚月のこと
 "しんた" なんて呼んでたの?」

「あぁ、それな、大地のやつ俺の苗字を新田(にった)って読めなかったんだよ。あいつ新田(しんた)だと思ってて、そのせいで高校の3年間、俺のあだ名は "しんた" 。
新田柚月(にったゆづき)ってカッコいい名前なのに最悪だよな」

そう言って笑いながら、卒業アルバムのページをめくり始めた柚月は、目を細めて懐かしそうに体育祭や文化祭と自分が写っているページを指差して私に見せてくれて…。

そこには、柚月の隣に必ずお兄ちゃんが一緒に笑顔で写っていた。

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