強引な彼と恋のマジックドライビング
兄と共に記憶の奥底に閉じ込めていたしんちゃんとの記憶が甦る。

ううん…違う。

一目惚れしたのは私のほうだ。

5年生の春、学校から帰宅すると玄関には見慣れない大きなローファーが兄の靴の隣に並んでいた。

「ただいま」

靴を揃えて屈む私の背中に

「おかえり」

と声をかけたのは、いつのまに玄関にきていたのだろう、振り向くと高校生の兄と同じ制服をきた男の人が笑顔で私を出迎えてくれた。

お兄ちゃん子の私はとにかくカッコいい兄が大好きで、クラスの男子は子供すぎて兄以外には異性に興味なんてまるでなかった。

目の前のさらさらな金色の髪をした男の人は、天使か神様かと思うくらいにものすごく整った綺麗な顔をして微笑んでいて、一瞬で私の心は奪われた。

兄以外に初めて異性に興味をもった。

思えばこれが私の初恋だった。
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