強引な彼と恋のマジックドライビング
中学生にあがり、しんちゃんをさらに異性として意識しだした私は、恥ずかしくて以前のようにじゃれつくことはなくなった。

それでも玄関に大きなローファーを見つけると、兄の部屋に急いでかけあがり

「ただいましんちゃん」
と顔を覗かせると、しんちゃんは目を細めて

「おかえり、朝陽ちゃん」

と笑顔を向けてポケットに手を突っ込み、チョコレートを私に差し出すのだ。

「ありがとう」
差し出した手のひらに、微かにしんちゃんの指先が降れただけで、私の心臓が飛び上がり、もっとしんちゃんと一緒にいたいのに恥ずかしくて自分の部屋に逃げこんで…。

閉じ込めていた記憶が次々と脳裏に蘇り、私の胸の奥もきゅんと甘酸っぱい記憶に締め付けられた。
< 64 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop