桜田課長の秘密
言われていることが把握できない私を置いて、口撃は更に続く。
「低レベルな欲求のために、会社の品位を貶めたんです。訴えられないだけマシだと思ってください」
虫ケラでも見るようなその顔に、ようやく彼の言わんとすることが分かった。
同時にお腹の奥からふつふつと湧いてくる怒り。
なにも知らないくせに――
「……あやまってください」
自分でも驚くほど低い声が出た。
「ブランド品に興味はありません。男性と交際した経験はないし、入れあげたこともない。自慢じゃありませんが、未だ処女を捨てられない痛い女なんです」
ゆっくりと立ちあがって、頭ふたつ高い位置にある目を睨みつけた。
「いくら人事部だからって、勝手な決めつけで侮辱しないでください」
驚いたように私を見ていた課長は、やがて小さく肩をすくめながら頭を下げる。
「確かに不適切な発言でした。申し訳ありません。では、事情をお聞きしましょう」
『ここではなんですから』と促され、ついて行くと会議室に入るなり本題を切り出された。
「低レベルな欲求のために、会社の品位を貶めたんです。訴えられないだけマシだと思ってください」
虫ケラでも見るようなその顔に、ようやく彼の言わんとすることが分かった。
同時にお腹の奥からふつふつと湧いてくる怒り。
なにも知らないくせに――
「……あやまってください」
自分でも驚くほど低い声が出た。
「ブランド品に興味はありません。男性と交際した経験はないし、入れあげたこともない。自慢じゃありませんが、未だ処女を捨てられない痛い女なんです」
ゆっくりと立ちあがって、頭ふたつ高い位置にある目を睨みつけた。
「いくら人事部だからって、勝手な決めつけで侮辱しないでください」
驚いたように私を見ていた課長は、やがて小さく肩をすくめながら頭を下げる。
「確かに不適切な発言でした。申し訳ありません。では、事情をお聞きしましょう」
『ここではなんですから』と促され、ついて行くと会議室に入るなり本題を切り出された。