桜田課長の秘密
「そこまでするなんて、よほど女性が嫌いなんですね」

でも、だとしたら私を助手にする理由が分からない。

課長はメガネをかけ、冷めきった視線をこちらに向けた。

「いいえ、面倒なだけですよ」

「なにがですか?」

「そうですね。君のように生産性のない質問を繰り返したり、一皮剥げば変わりのない顔面に惑わされ、本質を見ようとしないところ……ですかね」

「……っ!」

悔しい――
悔しいのだけれど、たしかに一理ある。

よく考えれば彼の容姿に関する質問など、なんの意味もない。

「他には? なければ、君を雇いたい事情を説明しますが」

完敗だと悟った私は、黙ってうなずいた。

「必要なことだけ簡単にお話します。まず重要なのは江本さん、君が処女だということです」

「えっ!」

思わず後ずさると、彼が眉をひそめる。

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