桜田課長の秘密
「巴ちゃん、桜田課長を絞殺しようとしたんでしょ」

「ええ!?」

「で、警察には突き出さないでくれって、土下座したって」


食堂での一件を見ていた誰かが、妙な噂を流したんだろう。
道理でいつもはやたら絡んで来るハイエナ軍団が、遠巻きに見ているだけだったんだ。

に、しても――

「相田さん……それ、信じてるんですか?」

「安心して。巴ちゃんが刑務所に入っても、ずっと待ってるから。差し入れ持って会いにだって行く」

ポンと私の肩に両手を乗せた彼は、大きくうなずいた。

「じゃあ、外回り行ってくるね。出来たら……今日のランチまでは逃げ切って欲しい」

大真面目な顔で『グッドラック』と親指を立て、立ち去ってしまった。

ええと……今のは、ボケたんだろうか。
そして、突っ込むべきだったんだろうか。

それにしても……ただ平穏に暮らしたいだけなのに。
悪霊にでも取り憑かれているのだろうか。

そうだ、神社に行こう――

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