桜田課長の秘密
『おはようございます、江本さん』
受話器から聞こえた声に、肩が震えた。
「桜田……課長」
『警戒心むき出しですね』
当たり前だ。
私の中で彼は、最大危険人物に指定されているんだから。
『ご安心ください。社内では大人しく〝シジミ〟の皮を被っていますので』
知ってたんだ。
自分が〝シジミ〟って呼ばれていること――
「で……なにかご用ですか」
『用もなく内線を入れるワケがないでしょう。それともなんですか『昨日は楽しかったよ』とでも言って欲しいのですか』
「……っ!」
このシジミは、毒を吐いていないと死んでしまう病かなにかに侵されているんだろうか。
「忙しいんですっ、サッサとご用件を!」
思わず声を荒げたせいで、またしても周囲に妙な雰囲気が漂う。
ええい、もうなんとでも思ってくれ。
受話器から聞こえた声に、肩が震えた。
「桜田……課長」
『警戒心むき出しですね』
当たり前だ。
私の中で彼は、最大危険人物に指定されているんだから。
『ご安心ください。社内では大人しく〝シジミ〟の皮を被っていますので』
知ってたんだ。
自分が〝シジミ〟って呼ばれていること――
「で……なにかご用ですか」
『用もなく内線を入れるワケがないでしょう。それともなんですか『昨日は楽しかったよ』とでも言って欲しいのですか』
「……っ!」
このシジミは、毒を吐いていないと死んでしまう病かなにかに侵されているんだろうか。
「忙しいんですっ、サッサとご用件を!」
思わず声を荒げたせいで、またしても周囲に妙な雰囲気が漂う。
ええい、もうなんとでも思ってくれ。