桜田課長の秘密
「課長、なにをなさっているんですか」

出来るだけ刺激しないように、丁重な言葉を選んだ。

「あんまり気持ち良さそうだったので、つい誘い込まれました」

腰に巻きついていた腕が動き、その手が視界いっぱいに広がり、私の前髪をかき分ける。
そうして、あっと思ったときにはおでこに熱い唇が押し当てられていて。

「ぎぃやあああああっ!」

絶叫した。

自分でもその声のボリュームに驚いたのだけど、課長はもっと驚いたらしい。
ガバリと起き上がって、両手で耳を塞ぐ。

「うるさい……」

眉間に深い皺を寄せて睨まれるけど、私は悪くない。

「なな、なにをするんですかっ!」

掛け布団をマントのように被って、部屋の隅まで逃げた。

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