幼なじみの彼とわたし
表情と声からして本当のことなんだろう。

いずみんが言ったことが突然だったからだけではないはず。
いずみんの声はちゃんと聞こえていたけれど、理解するのに時間がかかったようで、声が出なかった。
それをいずみんは聞こえてなかったと思ったみたいで、同じことをもう一度、今度はもう少しゆっくり繰り返す。


「…そう、なんだ」

それ以外に言葉が出てこない。
自分の沈んだ声が人の声のように感じる。


遥ちゃんに好きな人…、いたんだ。
わたしは知らなかったけど。
どんな人だろう。
やっぱりキレイなスタイルのいい人だよね。


心をナイフでグサッと刺されたような衝撃だ。


今どんな表情したらいいの?
気合いを入れて何事もなかったかんじの顔?
できるかなぁ、、、ムリかも。
笑えない。
それより、泣きそうな顔になってる自覚あるよ。


「まだ西本くんの片想いみたい」


いずみんが追加情報を教えてくれる。
遥ちゃんが好きなんだもん、相手も遥ちゃんのこと好きになるよ。
もう付き合ってるようなもんじゃん。


よくしてくれる頭ぽんぽんも、結婚式の帰りに繋いだ手も。
その人にもやってるのかな。


なんか、苦しい。


「…知らなかった。そうなんだね」

笑顔を作ったつもりだけど、自分でも下手くそだな、と思うくらい顔中がひきつっているのがわかる。

ひどい顔なんだと思う。
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